早いもので、気が付けばイギリスでITエンジニアとして働き始めて2か月たちました。
日本でSEとして働いてた時に使ったことがあるツールやプログラミング言語が今の会社で使っているものと結構違うので、最初はわからないことだらけで仕事を楽しいと思えなかったが、時間がたった今はわかるものがちょっとずつ増えてきました。
今日は、イギリスの労働環境ってどんな感じなのか、海外のIT会社の働き方は日本とはどんなところが似てて、どんなところが違うのか?などについて知りたい方のために、私が勤めているIT会社の現状について書きたいと思います。
いつか海外で就職したいなーとかそれとなく思ってる方も、海外の会社がどんな雰囲気か少しでも伝わればいいなと思います。
時間管理
まずはイギリスのIT会社の時間管理、残業がないって本当なのか?などについて話したいと思います。
始業時間と終業時間
私の会社は9時始まりで5時半あがりです。一時間休憩があるので実労働7.5時間です。
周りの知り合いの話を聞いてると、感覚的にイギリスの会社は実労7.5時間は結構スタンダードみたいです。
日本で勤めてた会社は、ほとんど社員の出勤をタイムカードで管理してたが、今のイギリスの会社ではそこまでキツキツに出勤時間を管理していないのでタイムカードはなく、日本ではIT企業と言えば残業が多いイメージありますが、うちの会社はやることが多くても定時になった瞬間に席を立ち、上司もそろってみんなすぐに帰ります。
残業前提じゃないので、どうしても残業が発生した場合の給与はどうなるのかわかりませんが、その都度ボスに相談かなと勝手に思ってます。
でも今のところリリースやサーバー移行で問題が起きても、上司が対応するので、定時になれば下のメンバーはみんな堂々と定時に帰ってます(笑)
つまり、「海外では定時上りが当たり前」という噂はやっぱり本当でした。日本の会社で次の日にやってもい良いようなことのために残業してたのがバカバカしく思えてきます。
遅刻・早退
遅刻に関してはみんな車や自転車通勤がほとんどなので、道路状況の予測つかないから、始業時間より多少遅れても大丈夫です。
あと、子供がいる人はどうしても子供の都合で少し早く上がったりしなきゃいけないのも特別に有給を申請することなく、自己判断に任されています。
これに関してはちょっと病院や歯医者に行くときも同じ感じで、チームに一言入れれば病欠をとる必要もなくちょっと会社に遅れてきたり、早上がりしても問題ないです。
というのも、イギリスの病院や歯医者は土日に空いていないところが多いので、平日に行くしかないのです。
なので、会社のみんなもそういう仕方がない事情を理解しているので常識の範囲内であれば文句言う人もいません。
ちなみにお昼ご飯をデスクで仕事しながら食べて、お昼休みの一時間を使わなかったら定時の5時半より一時間早く上がることもできますので、そうやって歯医者とかに行くのもありです。
話変わりますが、うちの会社は、特に金曜日はみんなやる気がないので定時の20分ぐらい前からマグカップを洗ったり、カーテンを閉めたりと早くも帰る支度をしてて、時計がまだ定時を回っていないのに会社を出る人も多いので、定時に会社を見渡すともうガラガラになってるから最初は本当にビックリしました。
時間管理がこんなにゆるゆるでも問題がないのは、普段仕事をするときは結構みんな集中してやっているので、効率よく仕事をこなせているおかげで、数分仕事しなくたって大して誰も気にしないのです。
こんなオンとオフがはっきりしてる社会で生活するとメリットがたくさんありますが、代償もそれなりにあります。
例えば、今日中に終わらなかったことやその人にとって重要度が低いことは後回しにされたり、担当者に催促しまくらないとやってもらえないことが多いです。担当者が有給を使ってしばらくホリデーに行かれたら、もう帰ってくるまで待つしかないことも。
でも私もゆるゆるに仕事していきたいので、お互い様と思えば割と寛容的になれるので、ちょっとした不便も慣れてきました。
服装
服装はたぶん自由です。というのも、実は服装に関しては何も言われてないのでよくわかりません(笑)
同じチームの男の人達は上はパーカーやシャツ、下はジーパンにスニーカーがほとんどで普段着と変わらない感じです。女性はおしゃれな服を着てくる人もちらほらいますが、男性と同じくカジュアルめです。
私はジーパンにセーターやシャツ、ブラウスで、靴はスニーカーにしています。長時間デスクに座って仕事をするにはやっぱり楽な格好が一番ですね。
ちなみにスカートの場合、ストッキング履かなくても失礼にはならないらしいので、生足でも問題ないそうです。(大手の会社で長年受付をやっている彼のお母さんが言っていました)
私が日本で務めていた会社ではノースリーブのトップスはダメでしたが、イギリスではニュースキャスターの女性も、政治家も、結構普通にノースリーブを着ています。胸元が大きく開いた服もよく着ています。
イギリスのフォーマルな服の定義は日本よりもずっと緩い感じがします。
使っているツール
わかりやすく説明するため、上司に「ログイン情報を保存するプログラムを作って」と言われたと仮定し、作業の流れ順にツールを紹介していきますね。
Active Collab
タスクを振られる時は口頭で指示される事もあるが、原則的にはActive Collabというタスク管理ツールのソフトウェアを使ってタスクにアサインされます。
チームみんながやっているタスクを見れるので、どんなプロジェクトが動いているのかそれとなく把握できて便利です。
環境作成ツール(内部用ツール)
Active Collabでアサインされたタスクのプログラム作成に取り込む前に、まずはAWSとJenkinsを利用した内部用ツールを使って、自分のパソコンに開発環境を作ります。
この内部用ツールは、ポチポチっと数回クリックするだけで本番そっくりの環境が一瞬で出来上がるので非常に便利で、最初は本当に感心しました。
特に急いでバグの分析をしたいときに、いちいち本番データをダウンロードして、開発環境にインポートするなど面倒臭い手間がなくてとても効率的だと思いました。
Visual Studio Code
次は自分の開発環境でテストしつつ、プログラムを作り上げていきます。ここではコードを書くのに、チームのみんなはそれぞれ自分の好きなエディタを使っています。
私は家のパソコンではAtomを使っていますが、最近会社ではVisual Studio Codeを愛用しています。
上司みたいに高速でVimを使いこなせるようになりたいなと思って、少しずつ練習しています。
Slack
作業中、上司や同僚にちょっとした質問などはSlackというメッセンジャーでやり取りしてます。徐々にMicrosoftのTeamsに移行する予定らしいです。
Github
自分の開発環境で自分が作ったプログラムが正常に動けることを確認出来たら、いよいよ本番資産にコミットします。
うちの会社の資産は基本的に全部Githubで管理しています。
Visual Studio Codeでプログラムを書いたら、ローカルに保存せずに自分のGithubに保存しています。こうする事で、リモートで家から仕事しようとした時に、家のパソコンにプログラムを落とせばすぐに続きから作業ができるようになります。
Githubで資産管理している会社はイギリスのみならず他の国でも多いと思うので、これから海外就職する方は、よく使われているGitコマンドを使いこなせるようになった方が良いと思います。
Remote Desktop Manager
本番にリリースされたプログラムが正常にデータベースにログイン情報が正常に保存されているか確認するには、Remote Desktop Managerというソフトウェアで本番のデータベースにアクセスします。
うちのサーバーは全てAWSを使って構築しているので全てがクラウドサーバーです。本番環境も、開発環境もたくさんあるから、このRemoteDesktopManagerアプリで一つで多数のリモート環境を管理しています。
本番にリモートする時はスクリーンの枠を赤に設定できたり、同時に複数の環境につなぐことが出来てかなり便利です。しかも無料でDLして利用できるので、リモートすることが多い方はぜひ使ってみてください。
Datadog
次に、データベースに入ってるログイン情報が正常であると目で直接確認できましたが、目で直接確認できないところはDatadogという監視ツールを使って異常がないか確認します。
CPUの使用率や、Exception数、EC2のスケール状況など監視して、条件によってはアラート通知をメールや携帯にくるように設定などもしています。
Google Drive
さて、無事に自分のプログラムが本番で動いていることが確認できたので、開発途中に参考した資料や自分のメモ書きを万が一バグが発生した時のために残しておきたいのですが、ローカルにはなるべく保存しないのがモットーなので、Githubの他に、Google Driveに残したいファイルを保存します。OneNoteもメモ帳として使ってます。
Google Driveは他の人と同じ資料を同時編集する時に、そのファイルを簡単に共有できるので、大学院のグループワークでも活用していました。
Bitwarden
Githubやら、Active Collabやら、これだけ色々使っているとそれぞれのログイン情報を覚えるのはかなり大変になります。そこで私はBitwardenを活用しています。
アプリをダウンロードして使うこともできますが、Google Chromeのエクステンションとして入れることも可能です。
ウェブブラウザでログイン情報を入力する時に、クリックだけで入力できるので、キーロガーにパスワード情報を盗まれる危険性が低くなります。
他にも色々と似たようなソフトウェアがあるので、興味があれば調べてみてください。
使っている言語
バックエンドはPHPとSQLがメインで、古いプログラムには.NETのものもあります。
フロントエンドは担当していないので正確にはわかりませんが、感覚的には一般的によく使われているCSS3とかJavaScriptとか、あとはご想像におまかせします。
前述「使っているツール」で触れたjenkinsは、パワーシェルでコマンドを書いています。
linux環境での操作はシェル、そしてDBはMySQLで、逆にWindows Serverの環境ではDBがSQLServerなのでSQLが微妙に違います。
仕事内容
まだジュニア(経験3年以下)デベロッパーとして入社してそんなに経ってないので、責任が重い仕事はまだ任されていません。
最初の方では調査や、ビジネス側の人にSQLでデータ抽出しました。最近はテスト用ツールやログの削除ツールなどを作りました。
普段はみんなヘッドホンして音楽聞きながら黙々作業をしています。私も眠気対策として気分が上がる音楽を聴いています。
うちの会社は50人もいない小規模な会社で、オフィスはビジネスとITの2つに部屋分けされておて、隣のビジネス側はなぜかいつもポップな音楽が流れています。
携帯も常識の範囲内であれば堂々といじっても大丈夫です。
こちらが実際のうちのオフィスです:
ものすごーくこじんまりとしていて、窓とドアを全部閉めたら若干息苦しいです。
モニターは一人4つずつ使っていて、ビジネス側の人に「NASAみたい」と言われました(笑)正直2つあれば十分かなと思います^^;
お昼休憩
お昼休憩をとるタイミングは自分次第で日本みたいにチャイムが鳴りません。
私はお昼ご飯は自分でデスクで食べて、お昼休憩の一時間は同僚と会社の周りが自然だらけなのでお散歩に行っています。
実際に散歩中に撮った写真:
羊やら、馬やら、お散歩中の犬やら、色んな動物に出会えます。
↑ワイン葡萄の畑をお散歩する時もあります。
会社のキッチンには冷蔵庫、トースター、コーヒーマシン、お湯、ウォーターサーバー、食器など一式揃っていて、コーヒー、紅茶のティーバッグ、牛乳(三種類)までも常備されています。
休暇
最後に、一番気になるイギリスの有給休暇事情について話します。
最も日本と違うところは、日本では一般的に入社して半年以降じゃないと有休が発生しませんが、イギリスでは入社してすぐに今年分として8日間もらいました。
何日間をもらえるかは、入社の時期によって変わるので、私より2週間早く入った同僚は私より1日多い9日間もらえたと言っていました。
ちなみに来年は一年分の20日間を与えられます。
有休を取るときは事前にオンラインで申請します。病欠は有休とは別で、12ヶ月間中に3回まで(給料が出る)病欠を取れます。
その年のうちに消化しきれなかった有休の対処方法はどうなるのかというと、会社のポリシーによってそれぞれ違うみたいですが、うちの会社は消化しきれなかった有休はそのまま消滅します。
最初の方でも書きましたが、歯医者や子供の送り迎えなどで少し遅れるときとかは、チームに一言いえばOKなので、わざわざ有休や病欠を使う必要がないです。
あまりにも長い用事だったら、その代わりお昼休み取らなかったり、家からリモートで仕事するなど、色々融通を効かせることが出来ます。
祝日は、日本と比べると少ないです。特にお正月は元旦の日しかお祝いしないので、2日から仕事のところも多いみたいで、正月休みに慣れた私からすると少しガッカリです。
クリスマスは日本みたいにクリスマスイブをお祝いすることはないので24日は午前中だけ出勤する会社が多いみたいです。
本番のクリスマスの日(12月25日)とボックシングデー(12月26日)はほとんどの会社がお休みです。特にクリスマス当日は電車もほとんど動きません。
おわりに
以上、イギリスでの労働環境やデベロッパーとしての仕事について書かせていただきました。
少しても海外で働く雰囲気が伝わりましたか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。もし好評でしたら、次回も海外就職に関する記事を書きたいと思いますので、お楽しみに(^-^)